【心理】フラッシュバックではなく、フラッシュフォワード2019/03/31

少しずつ【被災地】カテゴリで、東日本大震災について書いていこうと思います。

半年ほどある講座に通って、被災地支援について少し学びました。

無事に資格を取りましたが、それはスタートであって、ここから学び続けるということです。





今回は表題のとおり、「フラッシュフォワード」という用語について学んだことを紹介します。

チェルノブイリ原発事故による精神的影響を追い続けるウクライナ放射線医学研究センターに、コンスタンチン・ロガノフスキー教授(精神神経学)がいらっしゃいます。

教授は次のように述べています。

「福島で起こったことでどのような心理的影響が考えられるかと言いますと、まずはPTSDです。それは特別な形になると思います。

今回の原発事故によるものは、ベトナム戦争やイラク戦争など戦争によるものとは大きく違います。

戦争の場合、過去の経験に何度も気持ちが戻っていきますけれども、

原発事故の場合は、未来に対する不安、子どもたちに障害が起こるのではないかといったことを生涯考えるわけです。

この違いが、精神科医あるいは心理学者、カウンセラーが注目しなければならない点です。」



「フラッシュフォワード」とは、チェルノブイリ原発事故被災者に見られた心理的な現象です。

強いトラウマ体験によって過去を思い出す「フラッシュバック」ではなく、

将来への不安やおそれによるストレス状態が見られるそうです。




その他、講座のときのメモ

1 チェルノブイリの原発事故を処理した作業員に見られた。

2 彼らは過去への恐怖ではなく、被曝したことによる不安に襲われた。

3 震災によって故郷を失った=将来をイメージできなくなるストレス。他の場所なら元に戻る、もしくは想像がつく。原発事故はイメージがない。

4 ストレスから不活発症候群になり、免疫力、抵抗力が下がる。

5 震災関連死の肺炎、心疾患で亡くなる人が48%、自殺者は6%。

6 国の災害慰問金の調査で分かった。個人情報保護法のため、今までなかなか分からなかった。

7 今後の被災者、災害関連死への対応が急がれる。

『傾聴』によって実は生徒に癒されていた2016/03/12

5年目にしてまた様々なテレビの特集番組が放送されています。

今回初めて知ったのですが,「サバイバー・ギルト」という言葉があるそうです。

つ【サバイバー・ギルト】
震災や事故などの被害に遭い、命が助かった幸運によって罪悪感にさいなまれること。PTSDの一種である。



自分はPTSDだとは思っていましたが,もうちょっとはっきりとした名前が付きました。

自分にラベルが貼られることは安心です。嫌がる人もいますけど,自分が何者か分からない恐怖よりかはマシです。

で,そんな症状への治療法として挙げられているのが,カウンセリングであり,最も基本的な手法である『傾聴』だそうです。



私は昔,カウンセリングをけっこう勉強しましたし,カウンセリングを受けたこともあります。傾聴の重要性も分かります。

しかし,今回の体験をカウンセラーには話していません。カウンセリングは薬ではありません。治るとは限らないのです。

そして,先ほど書きました。治ってしまったら自分が何者なのか,ラベルを一つ剥がされるのです。それは不安なことです。

傷ついていれば,私は傷ついているという顔をしていられます。そのほうが安心なのです。(安心領域を出るのは怖い)

めんどくさいと思いますか?それは人の心は単純ではないということです。あるいは私は面倒な人間なのです。



しかしながら,先日,震災体験について3年生に話をしたとき,正直しんどいなと思ったのですが,授業が終わったとき,ちょっとだけふわっと心が軽くなったのを感じました。

なんだろう,この感じ…。と,そのときはスルーしましたが,あとからよくよく考えて気が付きました。

そうです,私は生徒に話を聞いてもらって,癒されていたのです。



生徒は私の体験談を真剣に聞いてくれました。最後の授業だということもあるでしょうが,私が熱心に話すものだから,聞き入ってくれたのです。

しかも,質問したり茶々入れたりもしません。ときどき私が冗談を挟んだときに笑うくらいで,黙ってうんうんと聞いていてくれたのです。

これこそ『傾聴』です。生徒たちは私の話を傾聴してくれたのです。だから話を終えたとき,心がふわっとしたのです。納得がいきました。



そして生徒に癒されているということに参りました。でも自分の体験談を語ることは生徒のプラスになると信じています。

やはり生徒には伝えたい。自分が癒されるためではなく,生徒に自分の信念を伝えていきたい。

もっともっと,何年経っても,このことをきちんと伝えていこうと,決意を新たにしました。

「あの日」から5年が経ちました。2016/03/11

毎年,年度末の授業進度の余裕を見ながら,この時期には震災の体験談を生徒達にしています。

写真もいくつかありますが,もっと見せたいものがあるのに,当時は写している余裕がありませんでした。

ゴミ箱からあふれたビールの空き缶の写真とか,象徴的で見せながら話したいんですけどね。

今年も入試後の3年生に,最後の授業として話しました。3年間,私の授業を受けてくれた生徒たちでした。

話しながらしだいに声が小さくなり,胸が締め付けられ,目にこみ上げるものがあります。それを誤魔化しながら,自分を奮い立たせて話しました。



今年度は放射線教育セミナーを本校で開いたので,同じセミナーを開いた各学校の先生方が集まっての反省会にも出席してきました。

放射線教育について携わっている大学の先生に噛みつくように意見してしまう自分を,抑えることができませんでした。

終わってから,丁重に頭を下げて先生方を見送りました。これから気をつけます…。





原発再稼働に向けて,国が動いています。電力会社が動いています。

残念でなりません。

原子爆弾を2度落とされて気が付いた日本です。

原発事故も2度起きないと分からないんですか。



中間貯蔵施設はまだ完成していませんよ。

最終処分場はまだ候補地さえ挙がっていませんよ。

原発の使用済み燃料貯蔵プールはあと数年で埋まりますよ。

六ヶ所村の再処理工場稼働はまた先送りになりましたよ。

核燃料サイクルは「リ」サイクルではありませんよ。

「もんじゅ」の維持費は1日5500万円だそうですよ。



原子力発電はもういいでしょう。

私たちが過去の戦争から学んだように,

原発も愚かな行為の一つだと学びましょうよ。

過去のものにしましょう。

子供たちが「昔は日本にも原発あったんだって。」と話す世の中にしましょう。



5年が経ちました。

それでもまだ3.11という日は私に影を落とします。

今日は疲れています。

体育館からの避難方法は計画されていますか?2016/02/15

まもなく卒業式ですね。

各学校で卒業式に向けての練習が行われていることと思います。

3年生も保護者も,来賓や在校生,職員も,みんなの心に残る式になるといいですね。



さて表題の件ですが,うちの自治体では,今年度の卒業式が3月11日に予定されています。

当然,東日本大震災を思い出すわけですが,あれは3月11日の午後2時46分でした。

卒業式が終わり,大半の生徒は自宅に帰宅していました。そのおかげで中学校では保護者に返すという心配がほとんどありませんでした。(逆に安否確認できなくて心配にもなりましたが。)



もしも午前中の卒業式の真っ最中に,あの巨大地震が来ていたらと思うと,恐ろしくなります。

通常,体育館は校庭を使えないときの避難場所として使われる場所です。

しかし,体育館にいたら照明や天井が落ちてくる危険性もあるわけで,場合によっては体育館から別の場所(校庭)へ避難すべき時があります。




体育館から何百人という生徒,保護者,来賓が安全に避難しなければなりません。想像しただけでも大混乱になるでしょう。

みなさんの学校では,体育館から避難する方法は決まっていますか? 計画されていますか? 出席者に周知してありますか?

対応するのは学校職員です。もし計画されていないのであれば,ぜひ管理職に提案してみてください。

念のためです。何もなければ笑って済みます。でもあの地震は突然やってきたのです。



どこに座っている人がどの出入り口から脱出するのか?

体育館を出たらどこへ向かうのか?

その判断を誰が下すのか?(ふつうは校長でしょうが)



この3点を生徒に確認しておくだけでも混乱は減るはずです。

それ以降の対応は通常の避難と同じように人員点呼です。

来賓や保護者は教頭,教務もしくは受付担当教員が対応するといいかもしれません。詳細は学校次第です。

悲劇を繰り返してはいけません。念のためです。

それでは素晴らしい式になることを祈ります。

【原稿】災害の映像を見せた後に話すこと2016/02/08

最近,いろいろなところで災害が起きています。

関東地方での連続した地震,台湾の直下型地震,そして桜島の噴火…。

これだけ続いてしまうと一体全体どうにかなってしまうのではないか。と不安にもなります。



こういった災害時には,新聞やニュース動画を資料として「防災」について話をしています。

タイムリーな話題なだけに,生徒たちの食いついてきます。

3学期の学習として,ちょうど関連領域を扱う頃ですね。1年生は地震・火山,2年生は気象(雷),3年生は自然災害があります。



今回は桜島の噴火の際に見られた「火山雷」について動画を見せました。生徒たちは食い入りうようにニュースを観ていました。

そして終わりの火山雷の場面でぼそっと…「かっこいい」と一人がつぶやきました。

もちろん,それを狙っていたわけですが,動画終了後こんなふうに話しました。





「今回は火山の瞬間を観てもらいました。あの火山のなかで見えた光は火山雷といいます。

ふつうの雷は,雲のなかで氷同士がぶつかって静電気が生じて雷として落ちてくるんだけど,

火山雷は噴火によって細かい岩石同士がこすれて静電気ができることによって起きる現象です。

観ていると,かっこいいとか,すげーとか,思うよね。

でもね,忘れないでほしいことがあるんだ。

あの火山の下には,住んでいる人の生活があるんだってこと。

車に火山灰が降り積もっているシーンがあったけど,それだけじゃないんだよね。家や畑がダメになったり,避難しなければならなくなったり,あそこにいる人たちは大変な思いをしているんだよ。

思うのはいいよ,つい口に出るのも仕方ない。でも,そういう被災した人たちを思いやることも忘れないでほしいな。」



このあとは,学年・学級の実態に応じて,防災・減災に関する話をします。例えば…

家族で避難場所を決めているか。ちなみに,生徒はそもそも避難場所に指定される学校にいます。心配なのは仕事に行っている大人のほうです。

防災かばんは準備してあるか。賞味期限切れの食料が入っていないか,半年ごとに確認しましょう。

通信・連絡手段は決めてあるか。固定電話,携帯電話,SNSでそれぞれ連絡先を確認しておくと,家族で合流しやすくなります。



(被災地のみなさんのご無事と,一日も早い地域の復旧・復興を願っています。)
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...