卒業式の合唱にアカペラを入れた理由2015/02/23

式歌の練習はやっているのですが、あいかわらずの歌嫌いで、まじめに練習する生徒のそばでふざける生徒、時間に遅れてくる生徒がいます。

うちのクラスは伴奏の生徒はずっと決まっていて、3年間おなじ生徒が弾いていました。

その子が連絡ノートに、「わたしは一生懸命練習しているのに、どうして真面目に歌ってくれないのか。」と書いていました。



担任として、どうすべきか考えました。

そして出した答えが、「式歌にアカペラを取り入れる」というものです。

今年の3年生は、2つのグループに分かれて、文化祭でアカペラを発表しました。

初めての取り組みに、チームとしてまとまれなかったり、アカペラなんて無理だと騒いだりしました。

台風で2日も練習できなかくなるというアクシデントもあり、こちらも内心ハラハラしていました。

それでも生徒たちは、自主的にクラス会を開いてお互いに励まし合い、休日返上で練習をして、文化祭での発表を成功させました。

だから、この子供たちにとって、アカペラは自分達の成長を象徴するものです。



音楽科の先生に相談して、アカペラにするサビの部分を確認し、無伴奏でも歌えること、伴奏者の動きに無理がないことを確認しました。

一度だけ練習させたところ、生徒たちの反応は微妙でした。アカペラのトラウマでしょうか。自信がないのかもしれません。

そこで、あらためて一晩考えました。事前に伴奏の生徒と話をして、名前を出すことも了解を得て、朝の短学活で次のように話しました。





「きのう、アカペラを取り入れて歌ってみました。みんなの反応が微妙だったので、先生の思いを話します。聞いてください。

アカペラはあなた方が初めて文化祭で挑戦したことです。アカペラはあなた方3年生にとって象徴的なものです。だから、アカペラを入れたいと思いました。

文化祭のときは2つのグループに分かれていて、全員では歌っていませんね。



先生としては、最後に全員で何かを成し遂げたという経験をしてほしいのです。だから全員でアカペラをやってほしい。

先生はいま、全員で、と言いました。全員で、というのは伴奏の○○にも歌ってほしいんです。

みんなはあまり分かっていないかもしれないけど、少し考えてみてください。



○○さんは、自分の受験もあるのに、自分が伴奏をできないと合唱にならないからと、君たちが練習するずっと前から、ピアノの練習をしています。

でもね、伴奏は脇役なんだよね。保護者席からも顔が見えないんだ。

きっと○○の親はピアノの練習をしている姿を見てるよね。でも卒業式では顔が見えない。



卒業式の主役は君たちだと話してきましたね。卒業式の最後に、あなた方全員に主役になってほしいんです。

今まであなた方のために一生懸命にピアノを練習してきた○○のためにも、○○のうちの人のためにも、みんなと同じように、立って親に顔を見せて、歌ってもらいたいんだ。

去年のこのクラスの学級スローガンは、One for all. All for one. でしたよね。○○のために、みんなで歌ってほしい。

それが担任としての願いです。よろしくお願いします。



最後にもう一つ。このアカペラはサプライズです。後輩にも親にも、アカペラのことは誰にも言ってはいけません。

全校練習のときは伴奏を入れておいて、音楽の授業や教室での練習のときだけ、アカペラで練習します。

いいですね、ぜったいにバレてはいけませんよ。秘密ですからね。」





放課後の式歌練習。

今までにない声量で、アカペラの部分も無事に、歌いきることができました。

みんなから自然と拍手が起こりました。

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