公開授業研究会を参観してきた2013/09/20

先日,ICTを導入したという地区の公開授業研究会があったので,研修として参加させていただきました。

小学生が中学校にきて,小学5年生の算数の授業1時間,その後,中学2年生の理科と英語が公開されました。



ICT機器についてはまだ生徒1人に1台という状況ではなく,クラスに1台のタブレット,電子黒板という感じだそうです。

ICTを導入していると公言している学校としては,平均的ではないかと思います。

たぶん,多くの自治体,多くの学校がそういう状況でしょうね。これを超えた状況になっていれば恵まれていますし,これ以下ならば遅れていると言われるでしょう。

遅れている学校の人間が言うのも何ですが…。



受付時間と同時に始まったICT展示会で,内田洋行とかのメーカーの方とお話をして公開授業を待ちました。(この部分については先日書きました。)




以下,Evernoteのメモより

(最近,このパターンが多い気がしますが,いちおうコピペではなくブログ用に少しは読みやすくしているつもりです^^;)





○小学校の授業 5年 算数
・電子黒板に写した教科書のコピーと同じものを、黒板にはった拡大コピーでも出している。子どもにもコピーを配ってノートに貼らせていた。

<自分の考え>
意味あるのかな? おなじ内容ならいらないんじゃないかな?
何を電子黒板に写し,何を黒板に書き,何をプリントにするか?十分な検討が必要だ。



・Windowsタブレットが有線でTVとつながっているため、操作中は離れられず何もできない。先生が子どもにお尻を向けている。

<自分の考え>
やはり無線だ。少なくとも教卓に置くなどして、生徒に顔を向けておきたい。



・机間巡視は声をかけるため。

<自分の考え>
机間巡視のときに、タブレットを持ち歩いて写真を撮るのもありだろう。



・多目的室で授業をしているため、移動黒板とホワイトボードを使っている。課題は右端に書いてある。授業の終わりのまとめが,その下に書かれた。

・めあて
 「二人の考え方を単位量当たりの大きさを使って説明して、混み具合を調べよう。」

・まとめ
 「単位量当たりの大きさを使う時は、どちらを1にしたかが大事。数直線を使うと便利。1m2あたりのほうが分かりやすい。」

<自分の考え>
どうして真ん中から使い始めるのか。授業終わりに構造的な板書になっているべきだろう。課題が左上,まとめが右下というのが,いちばんしっくりくる気がするが。



・小学5年生で、「単位量当たりの大きさ」を習っていると思ったら、計算式に単位をつけていない。

<自分の考え>
だから数値に意味がなくなって、単なる数字の計算になってしまい、計算に価値を見出せなくなるのではないか。
小学校では、(みはじ)は教えても、パーは教えないそうだ。

□ 小学校の算数と理科の教科書もドキュメントスキャナに入れておく。



・模造紙で理由を書く形式を提示している。その下に、指名した子どもに書かせているけど、子どもは数直線でやっている。そのあとに、模造紙の形式で答えと理由を書いていた。

<自分の考え>
やはりフォーマット(形式)は大切だ。これがあるから,苦手な子でも何が当てはまるかと考えやすくなる。どこまでの枠を与えるかが問題なのだ。



・お店などにある、「100g当たりいくら」「1m当たりいくら」の値札を見せる。

<自分の考え>
子どもの生活場面に落とすのはやはり納得感が高い。逆にこれを最初に提示して,そこから課題を作ってもいいのではないか。






○中学校 2年理科

課題 「2つの電熱線でゆで卵をつくり、発生する熱を考えよう。」

<自分の考え>
課題が「考えよう」で、先生はどうやって考えたことを看取るのか、それは学習活動なのか。



・「2Ωと6Ωでどちらが早く温まるか」予想を2分で考えさせる。

<自分の考え>
全員がおなじ予想、おなじ理由になるのだったら、時間をかける理由がないのではないか。



・全員が2Ωを予想したのに、比較のためという理由で2つの班に6Ωのやらせるようにした。

<自分の考え>
生徒が予想した意味があったのか。両方やらせる意味、時間を作ったほうがいい。



・50mlのビーカーでやっている。温度が上がるのは早いが、4人でやるには小さい。温度計を抑えていないと倒れてしまう。

<自分の考え>
ビーカーからの放熱、実験台に奪われる熱など、誤差が相当大きくなる。たぶん、誤差は扱わないだろう。
こんなに早く加熱するなら、両方で試してもいいのではないか。



・時間の計測は,先生がストップウォッチでやっている。

<自分の考え>
テレビに映せば、みんなで時間を意識できる。



・ゆで卵を割って確かめる。6Ωはできていないので、グチャっとなる。

<自分の考え>
卵をムダにする行為は生命尊重に配慮しているか。6Ωをやることになった班に達成感はあるか。



・2Ω、6Ω、8Vなどをマグネットで作っている。

<自分の考え>
手書きではダメなのか。何をマグネットにして,何を手書きにするのか。



・計算が早い生徒が指名されて板書している。
・電圧と電流を考える。時間は考えない。

<自分の考え>
同じ時間でやっているから考えないですむのだろう。熱量ではなく、電力の話をしている。ただ,先生が時間もしっかり記録していれば,今回の実験で,熱量へとつなげるのは簡単になるはずだ。



・考察を教科書で調べながら書いていた。電力という言葉は習っていない。最後は、早く調べた早くまとめた委員長が発表して終った。

<自分の考え>
生徒実験(抵抗2Ω,電圧8V)と演示実験(抵抗8Ω,電圧18V)では、条件を合わせていないので単純な比較ができない。

実験の目的が明確ではないから、生徒は何を考えていいのか分からない。

電圧,電流,抵抗という3つの変数があるなら,1つを揃えて,1つを変えて,残り1つの結果を調べるようにする。さらに,組み合わせを変えて行う。

結果、発生する熱は電流と電圧の両方に比例するので、かけ算をしてもいいという結論が出る。そこで先生が「この値を電力と呼ぶ」というふうに持っていかないといけない。

学力が高い生徒,予習してきた生徒,調べるのが早い生徒が活躍しているだけだと思った。



○事後指導での質疑
Q どういう意図で班編成を行っているのか。
A 生活班を使うこともあるが、割り算ができる子がいるように配慮した。

Q どうしてゆで卵を使ったのか。
A 理科の場合、感動がないと意欲が続かない。計算ができない生徒にもエピソード記憶が残るように。

Q 最後のまとめで教科書で調べ始めた。教科書の位置づけは?
A あまり使っていない。読み物が多いため、子どもはどこを見ていいか分からなくなる。

Q 小学校では、mAとAがでてくる。単位の変換をしている。どうやって単位になじませるか。
A 単位ごとに数字の色を変えている。

Q 小数点の入った割り算ができない。分数でもできない。
A 算数では、小数点の入った計算はしない。

Q 先行学習はいいのか?
A すべて覚えることに戸惑いが生まれてしまう。ちょっと先に見ておくと、実際の実験の違いが生まれる。

Q どうして8Vなのか。
A あぶなくない、かつ、時間内でゆで卵をつくるのに必要な電圧が8Vだった。
□ 教科書で使っている数字は何か調べる。

Q 定量的に扱わないのはどうしてか。
A 定量にこだわると意欲を失ってしまうから。誤差を扱いきれない。




ということでした。

ゆで卵をつくることが目的ではないと思います。それがモチベーションになるのでもないと思います。

あくまでも「電流と電圧の関係がわかった」という実感が大切だと思います。「電力という表現方法を使うと便利だ」という納得が大切だと思います。

ゆで卵ができたからエピソード記憶が残ったとして,今回の学習内容の定着につながるのでしょうか。

自分なら,課題は「いろいろな抵抗で,お湯を早くつくるには,電流と電圧をどのようにするとよいか」にします。



他の先生の授業を見ると,対案が浮かびますね。そうやって自分の授業を振り返ったり,次の授業へのヒントをみつけたりすることができるのが,授業参観の効用だと思います。

(理科の授業にはICT機器は出てきませんでした。公開の授業の目的とずれているのはなんでだろう?)
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